小学生の頃、近所に空き家があり、私はそこに入り込んでよく探検ごっこをしていました。
土地の形が特徴的で、ちょうどメモリーカードの斜辺を大きくしたような、五角形の形をしていました。
土地の入り口に張ってある虎ロープをくぐって中に入ると、雑草がたくさん生えていて、それらは年中枯れていました。服に枯草やオナモミをくっつけながら奥に進むと、玄関があります。ガラスの引き戸は右の戸の下の方が割れていて、奥がのぞけるようになっています。そこから家の奥を覗くと白っぽい顔が見えます。
左側の戸は固いのですが、何とか子供一人が通れるくらいこじ開けて中に入ります。
正面には廊下を挟んで居間と思われる部屋があり、中は少し散らかっています。部屋の隅には箪笥があり、上にはかわいらしい日本人形が置いてあります。部屋のどこから見てもこちらに顔が向いているので非常に印象に残っています。
部屋を出て廊下を奥の方に進んでいくと、物置のような場所があります。見慣れない古い道具がたくさんあって非常にワクワクします。私はそこで、フォークのような道具を拾いました。先端が10個くらいに分かれていて、持ち手は木でできていました。それがとてもカッコよく思って大事に持っていたのですが、いつの間にかなくしてしまいました。
そこから外に出られるようになっているのですが、外には車庫と思われる場所があって、赤いドラム缶がポツンと置かれています。周りと比べるとやたら新しい感じのするドラム缶で、周りの子供たちの間では中に人の死体が入っているとうわさがありました。
再び家の中に戻って玄関に向かいます。ふたたび戸を頑張ってこじ開けて外に出ようとすると家の中から、誰かが怒鳴りながらどたどたと走ってこちらに向かってきます。怖いので急いで外に飛び出し、全速力で敷地の外に出ます。
先日、その空き家のそばを車で通ったのですが、建物は解体されていて、きれいな新しい家が建っていました。